あっという間に9月となり、アメリカでは9/1のLabor Dayが終わると一気に夏の終わりのムードに包まれます。こちらでは新学期の始まりや夏休み明けのリフレッシュ感から、企業の間にも新しい活気が感じられる季節です。そんなニューヨークやアメリカの今、そしてSiblingの近況を、このニュースレターでクォーターごとにお届けしていきます。どうぞお楽しみください!

👟 FIELD WORK

Osaka Expoで感じた可能性と課題

先月の日本出張で大阪・関西万博を訪れ、初めての万博体験でもあり心を動かされる場面が数多くありました。国際的なソフトパワーを体感できる展示。壮大な建築。各国パビリオン。まさに「世界の祭典」と呼ぶにふさわしく、人々に与えるインスピレーションの大きさを実感しました。

しかし感動と同時に、モヤモヤの残る体験でもありました。最大の原因は、デジタル体験の不親切さです。複雑なチケット購入、複数のサイトやアプリをまたぐ三段階の抽選予約システムなど、ユーザーにとって摩擦の多い仕組みが目立ちました。実際に「購入の手間が大きすぎて諦めた」という声も耳にしました。さらに海外向けマーケティングがほとんどなく、アメリカでは万博の存在自体を知る人がほとんどいません。

「世界を迎える」ことが万博の目的であるはずなのに、デジタルやプロモーションは後回し。まるで海外の観客が全く想定されていなかったかのようで、歓迎するというよりもむしろ門前払いに近い感覚を与えてしまっている。国際的な来場者を見込むイベントとしては、あまりにも惜しい機会損失であり、大きなビジネスチャンスを逃している印象でした。

これは万博に限らず、これまで日米の仕事をする中で繰り返し感じる点でもあります。日本のデジタル標準は、国際的な観点から見るとまだ十分に翻訳されていません。グローバルな観客とつながりたいのであれば、デジタル戦略やユーザー体験は「後回し」ではなく、ブランドの信頼を築く最重要要素と位置づけるべきです。

日本は他の分野で非常に細やかな配慮を発揮する国です。だからこそ、この領域でも基準を引き上げれば、世界にさらに存在感を示せるはず。今回の万博体験を通じ、その可能性を改めて強く感じました。

👟 FIELD WORK

IBM Think 2025

先日、ボストンで開催されたIBMの年次イベント、IBM Think 2025に参加してきました。AIとエンタープライズデータの未来をテーマに、世界90カ国以上から5,000人を超えるIBMのパートナー企業やテックリーダーが集まる代表的なサミットです。

まず圧倒されたのは、その規模と完成度。没入型のデモや体験展示からブランドショップまで用意され、さらに戦略的インサイトや成功事例を紹介するプレゼンやパネルも充実。IBMが「企業イノベーションを支える自信あるパートナー」であることを強く示していました。

全体の中心テーマは予想通り、AIエージェントの拡大と組織の備え方。CEOのArvind Krishna氏によるキーノートでは、「AIの実験的な時代はもう過ぎており、今ではROIが全てだ」と強調し、企業におけるAIの位置づけが大きく転換していることを示しました。

とはいえ、変化が日々起きる中で意思決定には不確かさが伴い、多くの企業にとって課題となっています。午後に参加したラウンドテーブルセッションでは、経営層と直接対話し、AIによって変わりつつある業務運営をどう乗り越えているのかを伺うことができました。そこで共通して浮かび上がった課題がいくつかありました:

🤖 人材確保が最大の課題:AIの進化についていくために必要なスキルは日々変化しており、「数か月前には存在しなかった職種を今すぐ採用しなければならない」という声が多く聞かれました。

🤝 外部パートナーの重要性:必要な人材が揃わない場合は、自社人材のアップスキリングを進めるか、IBMのような専門企業と連携することが不可欠です。

💎 レジリエンスの醸成:柔軟な意思決定と賢いリスクテイクを可能にするレジリエンス(回復力)のマインドセットが、経営層から社員まで求められています。あるリーダーは「守りに入れば遅れを取る。だからこそ慎重さよりリスクを取る勇気が必要だ」と語っていました。

今回のIBM Think は、AIがすでに「実験段階」を超え「経営戦略の中核」にあることを実感する機会となりました。そして課題と対応は、すべての企業にとって喫緊のテーマだと感じました。

🔥 UPCOMING EVENT

来週、NYで開催される Fast Company Innovation Festival に参加します!ビジネスメディアの代表格 Fast Company が主催するこの年次カンファレンスには、世界中からのビジネスリーダーや起業家、イノベーターが集まります。

公式プログラムの一環として、Sibling企画の ”Walking & Tasting Tour: The Next Wave of Japanese Influence in New York“ では、ニューヨークで注目を集める最も話題性のある日系F&Bブランドをめぐります。「歩いて・味わって・学ぶ」体験を通じて、日本のブランドが現地の嗜好に合わせてどのように事業を再解釈・再構築し、新たな文化交流の波を生み出しているのかをご紹介します。

詳細は以下からご覧いただけます。ツアー以外でも、カンファレンスに参加予定の方はぜひお気軽にご連絡ください!

🔮 SIBLING PICKS

今、夏の意外な大ヒットとなったNetflixのアニメ映画『K-Pop Demon Hunters』にハマっています。韓国カルチャーを中心に、アジア系アメリカ人の視点から描かれた長編アニメで、文化的多様性の魅力を示す大注目の作品です。

驚くべきは、その予想外の成功です。大々的なプロモーションもなく、しかもDisney Pixarの『Elio』と同日公開。それでも人気は爆発し、『イカゲーム』を超えてついにNetflix史上最も視聴された映画となりました。ファンの熱気に応え、ニューヨークの Empire State Building では映画を称えるライトショーまで開催されました。

K-popに詳しくない自分でも、正直最初は突飛なタイトルに半信半疑でした。けれど観てみると、アニメ風の映像美と名曲揃いの音楽に一気に引き込まれました。さらに共感性の高い「二重のアイデンティティ」「受け継ぐトラウマ」「自己受容」といったテーマも描かれ、子どもから大人まで、K-popファンから非ファンまで心をつかんだのも大変納得です。

大ヒットにより、多くのライセンス機会やファンコンテンツも生まれました。唯一惜しいのは、制作元のSonyが十分な恩恵を受けられなかったこと。IPはNetflixに、音楽権利はRepublic Recordsに譲渡済み。ただ、今回の成功をきっかけに、今後Sony Picturesのアニメーション分野には大きな期待が寄せられそうです。

もちろん、ここまでの成功を誰も予想できていなかったのは事実です。しかし、デジタルかつ多様性に富む市場を考えれば、K-pop市場の拡大、ノスタルジア要素やジャンル融合、文化を越える共感的なメッセージ、そして一流プロデューサー陣による楽曲など、ヒットの兆しは確かにありました。そして何より、この成功が示したのは「多文化的なストーリーを誠実に、共感性を持って語ること」でこそ、国境や世代を超えて新しいファン層を生み出す力になる、ということ。その事実が、これからの時代にとても心強く感じました。

credit: Netflix

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