夏本番、ニューヨークはとにかく盛り上がってます。NY Knicksの歴史的優勝、ワールドカップの熱戦、Pride Month、そして待ちに待った夏休みのスタート。街中がお祝いムードに包まれている中、ニューヨークの「今」、そしてSibling の近況を、このニュースレターでクォーターごとにお届けしていきます。

💫 PROJECT SPOTLIGHT

NAKAI Matcha: リブランディングから、リアルイベントへ

SiblingがUSマーケット向けにリブランディングを手がけたスペシャルティ抹茶ブランド、NAKAIがこの春、正式にフルローンチしました。近年ますます競争が激化する抹茶市場において、NAKAIは日本の茶道が体現する「茶道の精神」を軸に、最高品質のオーガニック抹茶を提供することで差別化を図っています。

アメリカ市場にはまだないクオリティと authenticity を伝えるため、日本のルーツに根ざしながらも海外の消費者に親しみやすい、新しいブランド名・ロゴ・ビジュアルアイデンティティ・パッケージシステムを構築しました。

ローンチ後はオンラインのブランディングにとどまらず、リアルイベントにも注力。4月にはLAで「次世代のクールな街」として注目を集めるHighland Parkの人気カフェ、Comet over Delphi にて、日本で数々のアワードを受賞している Vert の田中シェフを招き、抹茶にフォーカスした特別なディナーと限定デザートを提供するイベントを開催しました。

同様のイベントはニューヨークでも展開しており、「抹茶=ラテ」というアメリカでの固定観念をアップデートし、抹茶のより広く深い可能性を提案するべく、現地企業とのコラボレーションを積極的に行っています。こうした活動を通じて、比較検討の難しい商材である抹茶を、ユニークなブランドとして差別化することに成功しています。

ブランドを作るだけでなく、それをどう現地のコミュニティへ広げていくか。小売パートナーシップの戦略立案から、地域コミュニティとの接点となるイベントの企画・運営まで——この実装ステップこそが、現地に根付くブランドづくりの秘訣なのだと考えています。

🗽 CITY REPORT

スタジアムから街中へ:スポーツがつなぐ夏

NBAファイナルとワールドカップがニューヨークを舞台に繰り広げられた今夏。試合の熱気はスタジアムから街中へ、そしてオンラインへと広がり、試合に負けないくらいのカルチャー的なインパクトを感じています。

Siblingチームでワールドカップ観戦 !ニューヨーク発のワールドカップキャンペーンのポスターやユニフォームもあちこちで見かけます。

⚽️ ワールドカップ熱:ニューヨークの応援席は、世界地図

ワールドカップが全米11都市を舞台に開幕し、サッカー熱がじわじわと広がっています。アメリカではこれまでフットボール・バスケ・野球が三大スポーツとして親しまれてきましたが、サッカーの人気は着実に上昇中。

ニューヨークでワールドカップを観戦する面白さは、応援するチームが一つじゃないところです。この街の多様性がそのまま出ていて、チームUSAはもちろん、自分のルーツの国、友人の母国と、応援対象がどんどん増えていく。気づけば友達や近所の人のお気に入りチームのファンになっている、なんてこともよくある話です。

試合の場外でも、海外からのサポーターたちがアメリカ人の注目を集めています。現地で特に目立っているのがノルウェーのファンたちで、「Viking Chant」と呼ばれる独特の応援スタイルで、スタジアムだけでなくTimes Square地下鉄の中にまで出没し、話題になっています。

外国人が米国文化に感動する、微笑ましいコンテンツがSNSでバズっています。

SNS上では、渡航してきたサッカーファンたちがアメリカ文化を発見していく動画が次々とバズっています。Costco の巨大サイズに驚くヨーロッパ人、エアコンの強烈さに混乱するスコットランド人、Ranch ドレッシングを初体験するスエーデン人、Bass Pro 初体験で目を丸くする日本人ファン。こうしたリアクション動画は、アメリカ人視聴者の間で「面白い」「微笑ましい」と大きな反響を呼んでいます。

ここ数年、アメリカの国際的な魅力が薄れてきたとも言われる中で、自分たちの日常の中にある何気ない文化を外から発見してもらえることは、なんだか温かくて、誇らしい気持ちにもなります。

🏀 Knicks優勝、街がブルーとオレンジに染まる

ニューヨークでこの夏最大のお祭りはなんといってもNew York KnicksのNBAチャンピオンシップ。53年ぶりという、歴史的な優勝でした。ニューヨーカーは何事においても意見が分かれることが多く、スポーツチームも例外ではありません。しかし今回のプレーオフだけは違って、バスケファンもそうじゃない人も関係なく、街全体がひとつになった瞬間でした。ファイナルが進むにつれて、熱気はどんどん高まり、街中でも、SNS上でも、興奮が目に見えて伝わってくる。もはやスポーツの域を超えた、一世代に一度あるかないかの、歴史に残る瞬間となりました。

Knicks優勝パレードには200万人以上が集まり、道路も車の上も街灯柱も、見渡す限り人、人、人。(photos: Rolling Stone, AMNY)

プレイオフの最終週、街中で見知らぬ人同士が道端でチャントを叫び合ったり、Knicksのチームカラーであるブルーとオレンジを身にまとう人が多く見えました。カフェではブルーとオレンジのクッキーやドリンクを提供したり、夜になると高層ビルがブルーとオレンジにライトアップされていました。

試合の時間になると、街のあちこちで何百ものご近所ウォッチパーティーが開催され、ビルの外壁に映し出された映像や、急ごしらえのテレビスクリーンを囲んで、路上で何千人もの人々が一緒に試合を見守りました。Knicksの優勝が決まると、「Knicksパレード」が開催され、マンハッタンのローワー・イースト・サイドには200万人以上が集まり、近年記憶にある中でも最大級のお祝いになりました。

このように街ぐるみで沸いた興奮と喜びは、ニューヨーカーがここ数年ずっと求めていたもののように感じます。振り返ると、街がひとつになる瞬間といえば、抗議活動やデモのような、困難や悲劇の時が多いものです。だからこそ、今回の優勝は純粋な喜びと、ニューヨークの街への愛が中心となる、心にのこる盛大なイベントでした。

🔮 SIBLING PICKS

今年の夏、大ヒットを狙ってハリウッドが送り出した、スーパーヒーロー映画の『Supergirl』と『Masters of the Universe』、そしてスター・ウォーズのスピンオフ『The Mandalorian and Grogu』は、いずれも期待外れに終わりました。

その代わり予想外で大ヒットしたのは、ハリウッドではなくYouTuber発の低予算ホラー2本。26歳のCurry Barker氏が制作費75万ドルで作った『Obsession』は興収2億6,500万ドル。20歳のKane Parsons氏がA24と組んだ『Backrooms』は公開初週末で8,000万ドルを突破し、A24史上最高の世界興収作品になりました。しかも両作とも観客はほぼ全員35歳以下。長年「どうすればZ世代を劇場に呼び戻せるか」と議論し続けてきたハリウッドへの、皮肉な答え合わせのようです。

興味深いのは、『Backrooms』がそもそもIPありきで企画された作品ではないという点。始まりは、掲示板サイト4chanに投稿された、不穏な黄色い光に包まれた、何もない部屋の写真一枚でした。それを見つけたParsons氏がインスピレーションを受けてショートフィルムをYouTubeに公開し、視聴者の反応を拾いながらエピソードを重ねるうちに、草の根から育った作品がそのままメインストリームに躍り出た形です。

もちろん、これで大手スタジオのIPビジネスが終わるわけではありません。『スパイダーマン』も『トイ・ストーリー5』も相変わらず注目度は高いままです。ただ、「フランチャイズの名前さえあれば売れる」という単純な考えは、今の若者には通用しないことが明らかになっています。

これからのエンターテイメントで重要になってくるのは、インターネット的なストーリーテリングを理解するクリエイターと組むことで、どう彼らのビジョンを活かせるか。この2本のようにすべてがヒットするとは限りませんが、こうした才能に賭けてみる価値は十分にありそうです。

もうひとつ見逃せないのは、観客は「隠されたヒントや意味合いを見つける楽しさ」を求めているという点。バイラルなネットトレンドなどを取り込むことで、受け身で見るだけのものから、感想をシェアしたり世界観を掘り下げたりすることが前提の、よりインタラクティブでコミュニティ的な体験へと変わっていく予想がします。

Backrooms (Studio A24, 2026)

The Backrooms (YouTube original, 2022)

The Backrooms (original image concept on 4chan, 2019)

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