長い夏休みが明け、ニューヨークの秋はいつも通りの賑わいを取り戻しています。文化イベントや美術館のオープニング、新学期のスタートと、街のエネルギーが一気に戻ってきました。そんな中、ニューヨークで感じる「今」、そしてSibling の近況を、このニュースレターでクォーターごとにお届けしていきます。
🌎 SIBLING VOICES
アメリカの夏休みは6月から8月まで、場合によっては9月半ばまでと、まるまる3ヶ月近くエンジョイできる期間です。Siblingチームやコラボレーターもその波に乗り、年末に向けてしっかりと充電してきました。旅先や日常の中で見つけた新しいトレンドやビジネスのヒントを、メンバーそれぞれから一言ずつお届けします。

🇺🇸 Rie(リテールストラテジスト)、ディズニークルーズより
先日、Disney Cruise Lineの「Disney Wish」に初めて乗船しました。今回が3回目という友人に企画してもらったのですが、周囲にも乗船経験者が多く、なぜこれほど多くの人を惹きつけるのか、実際に体験できることを楽しみにしていました。船内には、プールやウォーターパーク、テーマパークのアトラクションを思わせる本格的なウォータースライダーをはじめ、さまざまなアクティビティが用意されています。キャラクターとのグリーティングも頻繁に行われ、子どもを預けられる託児施設のようなセンター、インタラクティブなショーを楽しめるレストラン、ブロードウェイさながらのステージ、スパやジムまで備わっています。
毎晩テーマレストランで食事をした後にショーを観て、終演後はデッキやホールで開催されている別のイベントに参加する。そんなふうに過ごしていると、時間がいくらあっても足りません。大人向けのバーやショッピングエリアも充実しており、いわゆるお土産だけでなく、カルティエを含む高級時計やジュエリーも販売されています。3泊4日の滞在では、すべてを体験しきれないほどの充実ぶりでした。
幅広い年代の人が船上で楽しみながら、リゾートのようにリラックスできる環境が、細部まで設計されている点はとても印象的でした。エンターテインメント、飲食、ショッピングなど、さまざまな体験が一つの空間に自然に組み込まれています。日本でも、2028年の就航が決まっているそうです。

🇹🇭 Namiko(プロダクトイノベーター)、バンコクより
皆さんはじめまして!NYで米国向け商品・事業開発のPalate Boosterを運営している梶原奈美子です。今年の夏はバンコクの旅に出かけて、最新のアジア・トレンド視察に行きました。特に印象的だったのが、バンコクの食・文化シーン。欧米で学んだ40代前後のシェフが自国の食材や文化に着目して再構築した「新しいタイ料理」や、同様に海外から戻ってきた芸術家たちのモダンアート。いずれも、30〜40代の若さと実力を兼ね備えたプロ、かつ海外視点も兼ね備えながら自国の文化を再発見する、という点がとても印象的でした。
一つだけ紹介するとしたら、ミシュラン一つ星の「Wana Yook」。タイの様々な種類のお米をコースごとにおかずとペアリングしている「Rice Pairing」に感動!日本の食材ももっといろんな形の見せ方がありそうだとヒントを頂きました。

🇬🇧 Yuri(コピーライター)、ロンドンより
ニューヨーク、サンフランシスコ、東京を経て、最近ロンドンへ移住した、ライターのユリです。日本文化は世界中でトレンドが続いていますが、アメリカではそろそろピークを迎えつつある一方、イギリスではまだ探求の初期段階という印象です。ロンドンでは今、BEAMS&Co.が手がけるイベントシリーズ「Shotengai」のコンテンツ制作に携わっています。日本をはじめ東アジアにルーツを持つ食・飲料・クラフトの出店者が集まる、月一開催のポップアップマーケットです。スモールビジネスのオーナーたちにインタビューする中で、母国の食や文化を持ち寄ることでロンドンにコミュニティを築いてきた人々のリアルな姿が見えてきました。また、こうしたコミュニティマーケットの人気がじわじわと高まっていて、リアルな場でのポップアップは、立ち上げ期のブランドにとって大きな支えになっていると実感しています。
そして実は、自分自身も初めてのポップアップ出店を計画中です。パートナーと一緒に、フレンチと和のフレーバーを掛け合わせた手作りドーナツブランドを立ち上げようとしています。黒ごまや味噌キャラメルなど、イギリス人に響きそうなフレーバーを試作しながら、模索中です。

🇫🇷 Richard(ブランドストラテジスト)、カンヌより
Cannes Lions「カンヌライオンズ」は、世界トップの広告代理店、クリエイティブエージェンシー、注目ブランドが一堂に会する年次イベントです。ヨーロッパの夏らしく、ビーチやヨットが会場となるこの祭典では、今年は業種を問わず数々のパネルで、AIとクリエイティブチームの未来についての議論が至るところで展開されていました。
企業による「AI Slop」(粗製濫造のAI生成コンテンツ)はピークを迎えつつあり、消費者もそれを見抜き、疲れ始めています。何が良いかを見極め、平均的なアウトプットを超えていくための「編集力」は、クリエイティブ職だけでなく、ビジネス全体において最も重要なスキルのひとつになりつつあります。ツールは効率を上げ、可能性を広げてくれますが、顧客との本質的な関係を築くには、文化的背景や消費者のニーズへの深い理解が欠かせません。これは自分が今関わっているSuperside社でもよく議論されていることです。クリエイティブやマーケティングの実行のハードルがかつてないほど下がった今だからこそ、本当の意味での人間的なつながりと理解には、より意識的な努力が必要だと実感しています。
こうしたカンファレンスに参加するたびに、リアルな場で人と集まることの大切さも改めて感じます。Supersideでもクライアントとの対面イベントには力を入れており、その手応えを肌で感じています。

🇺🇸 Mari(ブランドデザイナー)、アップステートNYより
夏といえば、ニューヨークの喧騒を離れてアップステート・ニューヨークで過ごすのが我が家の定番。マンハッタンの北に広がるこの広大なエリアは、昔からニューヨーカーが週末の旅行先やセカンドハウスとして親しんできた場所です。コロナ禍をきっかけに、自然の中でゆったり暮らしたいと考える若いニューヨーカーが一気に流入し、その人気はさらに加速しています。
その流れでここ数年一部のエリアで起きているのが、「ブルックリン化」と呼ばれる現象。リモートワーカーやニューヨークからの移住者(特にブルックリン出身のヒップなミレニアル世代)が増えたことで、こだわりのグローサリーや多国籍レストラン、抹茶カフェ、アートセラピースタジオなどが続々と登場しています。ホスピタリティの面でも新しいホテルの開業やリニューアルが相次いでおり、2つ星ミシュランのウェルネスリゾート「Wildflower Farms」や、サーマルプールを中心に設計されたバスハウス併設ホテル「Pocketbook Hudson」などが個人的に気になっています。さらに、星のやの初のアメリカ進出リゾートもこのエリアのSharon Springsに2028年オープン予定とのことで、注目が集まっています。
都会的なセンスとトレンドが、地元の小さな町ならではの温かみと混ざり合い、新しいカルチャーや体験が北の郊外へじわじわと広がっている。そのダイナミズムが、このエリアの魅力だと思っています。
🔮 SIBLING PICKS
秋といえばファッションウィークのシーズン。9月はニューヨーク、そして今月はパリと続く中、アメリカのカルトブランド「Telfar」が話題を呼んでいます。Paris Fashion Week のプレゼンテーションに参加しながらも、サプライズで同時にニューヨークのブルックリンで本イベントを開催するという、二都市同時展開を敢行したのです。

秘密で企画されたブルックリンのライブショー (image: Harper’s Bazaar)
デザイナーのTelfar Clemens自身が、当日パリではなくニューヨークに残り、早朝からイベント会場に行列するお客さんを迎える姿は、最初こそ不思議に映りました。しかしショーが始まった瞬間、その理由が明確になりました。パリの小さなシアターに業界トップの招待客や編集者が集まる中、ランウェイの代わりにニューヨークで同時進行するライブイベントの映像が巨大スクリーンに流れていました。Telfarは、「ショーはファッション業界のエリートではなく、地元ブルックリンのファンたちのためにあるべきだ」と語っています。長年「格式の場」とされてきたパリのランウェイは、本命の地元ファンベースと比べて、果たしてそれほど重要なのか——そんな問いかけが込められたショーでした。

(image: TikTok, The Zoe Report)
ニューヨーク会場はサンプルセールも兼ねており、アイテムを購入できるだけでなく、使用済みのTelfar バッグを持参してクレジットと交換できる “Bag Redemption” プログラムも実装していました。返却したバッグの数がそのままクレジット額に反映される仕組みは、ブランドがいかに長年のファンを大切にし、信頼感と深い関係を育もうとしているかを体現しています。単なるセールを、コミュニティ全体が参加できる体験へと昇華させたイベントでした。

サンプルセールの広告デザインも、ニューヨークの街中で配られていそうなチラシをモチーフに。イベントに参加するために朝から並ぶ地元ファン。
(image: Telfar Global, Harper’s Bazaar)
以前Siblingのレポートでも紹介したTelfarは、Gen Zから絶大な支持を受け、巧みなブランディングとマーケティングでファンダムを生み出してきたブランドです。今回もそのセンスが光る一幕で、SNSや業界ニュースでは一気に話題となっています。また、映像ショーとライブ体験を組み合わせたこの二元フォーマットは、異なる地域やタイムゾーンのオーディエンスを巻き込む新しい方法として、ブランド戦略の観点からも非常に興味深いアイデアです。

サンプルセールの体験デザインもカジュアルに、飾らないリテールラックなどを使用することで、あえてパリのエリート層との差をつけているのもセンスを感じる。
(image: Telfar Global, Harper’s Bazaar)
ABOUT
このメールは、Sibling にご登録いただいた方、イベントに参加いただいた方、または岩原マリとの名刺交換をさせていただいた方にお届けしています。定期的なイベント案内やニュースレターは、四半期ごとにお届けいたしますので、無駄なメールはお送りいたしません。Sibling 以外の活動においては、お客様のデータは決して第三者と共有されることはありません。もし不要な場合は、お手数ですが Unsubscribe ボタンより手続きをお願いいたします。
Stay Connected
▶︎ 過去のニュースレターはこちらへ
▶︎ このメールを誰かから転送されましたか?
▶︎ このような情報を気に入りそうな方がいれば、シェアしてください


